【コラム】 決算書とは? ~前篇~
■決算書とは?
決算とは、「一定期間の取引を取りまとめ、資産・負債・収益・費用を「決算書」という形で算定し、その財産状況及び経営成績を明らかにすること」です。 天口会計事務所の決算申告決算をするにあたり、決算書は必ず作成することになる書類ですが、では、この書類が持つ役割とは一体何なのでしょうか?
今回は、「決算書」に焦点を当てて、具体的なお話ししたいと思います。
【決算書の構成】
「決算書」は「財務諸表」とも呼ばれ、一般的には、以下の書類を指します。-
貸借対照表
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損益計算書
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キャッシュフロー計算書
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株主資本等変動計算書
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付属明細表
【貸借対照表の役割】
貸借対照表は、一言でいえば、 「一定時点での財産状況を示すもの」です。例えば、今月末日時点で、現預金がいくら残っているか、借入金がどのくらいあるのかなど、その会社の資産及び負債の情報が、貸借対照表に現れてきます。
また、資産と負債の差額を純資産と呼びますが、これがプラスであればあるほど会社に余力があり、マイナスであれば、債務超過の状態です。
貸借対照表は、会社を設立してから現在までの「経営の結果」の積み重ねです。
ですので、貸借対照表の構造を理想の形に近づけてゆくことが、結果として、長期的な利益を生み出す構造を作ることとなります。
もう少し具体的にお話ししましょう。
後述する損益計算書は、「一定期間(大体は1年間)の利益を示すもの」ですが、1年間の結果だけでは、企業の本質はつかめません。
例えば、ある企業で赤字が出たとしても、来期に大きな利益を生む新事業を展開するための赤字かもしれませんし、単年度の利益ですべてを判断することは出来ません。
ですが、これが、毎年赤字が続いているのであれば問題です。そうした企業の貸借対照表では、純資産の額が減少を続けていることになります。
また、資産と負債の内容も重要です。同じ資産でも、すぐに動かせる現預金が多い企業と、固定資産が多い企業とでは戦略も違いますし、負債も同様に、来月には支払わなければならない債務と、返済が5年後でよい債務とでは、扱いが変わってきます。
そしてその比率は、業種によっても大きく変わってくるでしょう。
ホテル業や製造業など、設備投資が必要な業種では固定資産の比率が多くなるでしょうし、卸小売業では、流動資産の比率が多くなるはずです。
これらを、その企業に合った、ベストなバランスにすることこそ、安定的な利益を確保するために必要なことではないでしょうか。
貸借対照表を正しく作成することで、その測定が出来るのです。
②損益計算書、③キャッシュフロー計算書については次回お話しします。
~後篇に続く~
(担当:監査部1課 課長 鷲尾 歩)