2019年2月2日 医療機関経営セミナーレポート
平成31年2月2日(土)に山形県医師会主催の医療機関経営セミナーにおいて、「クリニックにおける事業承継」をテーマに所長の天口信裕が講師を務めました。
現在、医療機関の事業承継にて話題となっている出資持分の問題を中心に、個人診療所、医療法人それぞれのケースにおける事業承継の特徴や退職金問題、生前贈与の非課税特例などについて実際の手続きで問題になりやすい点を解説いたしました。
個人診療所の事業承継を考えた場合、第一に考えられるのが親族への承継です。この場合、医療機関の債権・債務や資産、また従業員の雇用関係も個人に帰属しており、先代から若先生へスムーズに承継を進めるためにも、医療機関の資産・負債について遺言書(できれば公正証書遺言)で方向性を示しておくなどの準備が考えられます。
また、親族への承継以外にも、第三者への譲渡や医療法人化といった道も視野に入れて進めていく必要があるケースもあります。
次に医療法人の持分ありからなしについて、平成19年以前に設立され今現在持分ありの形態をされている医療法人は、相続税課税と払い戻し請求のリスクを負っています。リスク回避方法として持分なしへの移行がございますが、通常行ってしまうと医療法人に贈与税が課せられてしまうため、厚生労働省が定めた贈与税が発生しない持分なし(認定医療法人)への移行を考える必要があります。
しかし、平成19年以前に医療法人化したクリニック様がすべて持分なしへ移行するのではなく、経営やステージを見極めそのまま持分なしを続け、生前贈与等による財産移行が有利なケースもございます。
本業である医業経営以外にも、贈与や相続といった問題も絡んでくるケースが多いため、複合的な視点で考えていく必要があります。
今回のセミナーでは実際に事業承継の問題を抱えている方が多く、実例を盛り込んだ内容が好感触の講義となりました。